2026年04月14日更新

認知症と加齢による物忘れとの違いは?家庭でできる初期症状のチェックリスト

認知症は、ご本人やご家族が気になった段階で医療機関に相談することが大切です。早期に適切な対応ができれば、認知症の進行を遅らせたり、今後の生活設計も立てやすくなったりします。

しかし、認知症と単なる加齢による物忘れの区別が難しく、受診を迷う方も少なくありません。ここでは、加齢による物忘れと認知症を見分けるポイントやチェックリストのほか、認知症が疑われるときの相談先について解説します。

認知症のセルフチェック

「物忘れが気になるけれど、認知症なのだろうか」と不安に感じたとき、ご本人やご家族が簡単にチェックする方法として、以下のテストがあります。10個の項目について、「ほとんどない」「時々ある」「頻繁にある」の3段階で評価し、点数を計算してみてください。

大友式認知症予測テスト

        チェック内容頻度
① 同じ話を無意識に繰り返すほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
② 知っている人の名前が思い出せないほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
③ 物のしまい場所を忘れるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
④ 漢字を忘れるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑤ 今しようとしていることを忘れるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑥ 器具の説明書を読むのを面倒がるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑦ 理由もないのに気がふさぐほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑧ 身だしなみに無関心であるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑨ 外出をおっくうがるほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある
⑩ 物(財布など)が見当たらないことを他人のせいにするほとんどない ・ 時々ある ・ 頻繁にある

採点法:ほとんどない=0点 時々ある=1点 頻繁にある=2点
評価:0〜8点=正常/9〜13点=要注意/14〜20点=専門医などで診断を

引用:公益財団法人 認知症予防財団|認知症とは

ただし、このチェックリストは主にアルツハイマー型認知症を想定したものです。認知症のタイプにはいくつかの種類があるため、別のタイプの認知症では、上記にはない症状が出る場合もあります。

【関連記事】認知症とは?定義・原因・種類・症状など全体像を解説

また、チェックリストに当てはまったからといって、必ずしも認知症であるとは限りません。認知症を正しく診断し、適切な治療を受けるためには、専門の医療機関での検査が必要です。チェックの点数は参考にしつつも、「以前と様子が違う」「気になる症状がある」と感じる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

加齢と認知症の違いをチェック

薬を飲んだかどうか忘れて悩んでいる男性高齢者

物忘れが増えて認知症かどうか不安になったときに、多くの方が気にするのが「加齢による物忘れ」と「認知症による症状」の違いです。実際に、ある程度の年齢になると物忘れが増えることは自然なことです。

認知症の症状と加齢による物忘れには、それぞれいくつかの特徴があります。『認知症疾患診療ガイドライン2017』の内容をもとに、加齢と認知症の違いを以下にまとめました。

         認知症の症状        加齢による物忘れ
・体験したことをすべて忘れている・体験したことの一部を忘れている
・周りの人や自分が誰かわからなくなることがある・日常生活に支障はない
・日時や場所がわからない・日時や場所を認識している
・新しいことを覚えられない・新しいことを覚えられる
・怒りっぽくなる/無気力になる・性格が大きく変わることはない
・物忘れの自覚がない・物忘れの自覚がある

加齢による物忘れの特徴

加齢による物忘れは、自分で物忘れに気づいています。
たとえば、「ご飯を食べたことは覚えているけれど、何を食べたかまでは覚えていない」という場合は、加齢による物忘れの可能性があります。
忘れっぽさがみられても、日時や場所を正しく認識しており、日常生活に大きな支障をきたしたり、性格が大きく変わったりすることもほとんどありません。

認知症症状の特徴

認知症の場合、体験したことをすべて忘れることがあります。
たとえば、「ご飯を食べたこと」自体を忘れてしまい、「食べていない」と思い込んでしまうのです。自分が忘れている自覚がないため、家族や友人から指摘されて、不安や怒りを感じることもあります。

認知症は、「MCI(軽度認知障害)」という認知症の一歩手前の段階を経て発症することが少なくありません。突然認知症の症状が表れるのではなく、普段は問題なく過ごしていて、たまに症状が表れることから始まります。症状が進むと日時や場所の感覚がずれる、身近な人の顔や名前がわからなくなる、といった症状も見られるようになります。

【関連記事】認知症の前段階「MCI(軽度認知障害)」とは?早期発見のためのチェックリストも紹介

認知症は早期発見・早期治療が重要

認知症は、早期に発見して適切な治療や支援を開始することが重要です。とくにアルツハイマー型認知症の場合、薬物療法によって認知機能低下の進行を遅らせたり、症状が改善したりする場合があります。生活習慣の見直しなども認知症の進行を遅らせることに役立つことがありますし、周囲が適切に理解し対応することで、不安や怒りの症状を和らげることが可能となります。

早い段階で認知症への理解を深めると、今後の生活や介護、財産管理などの人生設計を計画的に進められるでしょう。

また、認知症ではなかったとしても、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、別の病気が原因で認知機能が低下しているケースもあるため、気になる症状があれば早めに受診しましょう。

チェックリストで認知症が疑われるときの相談先

認知症が疑われる症状があった場合、相談できる窓口を知っておくと、スムーズに診断や支援につなげられます。ここでは、代表的な相談先を紹介します。

かかりつけ医

まずは普段から通っている、かかりつけ医に相談することをおすすめします。かかりつけ医が認知症の専門医でなくても、適切な医療機関を紹介してもらえるためです。日頃から信頼関係のある医師からの勧めであれば、本人も専門医の受診に前向きになりやすいでしょう。

また、これまでの病歴や服薬状況を把握しているため、総合的な判断のもとで適切な医療機関につなげてもらえるメリットもあります。

地域包括支援センター

かかりつけ医がいない場合や、どこへ相談すればよいかわからない場合は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。地域包括支援センターでは、認知症の専門医療機関を紹介してもらえるほか、認知症に関するさまざまな相談に応じてもらえます。

また、診断後も介護サービスや介護福祉制度など、必要な社会資源を利用できるよう継続的に支援してもらえます。ご本人やご家族にとって心強い相談先となるでしょう。

認知症で受診する際に気をつけたいこと

高齢の母親に寄り添って受診を勧める娘

認知症の疑いで医療機関を受診する際には、医師に正確な情報を伝えることが大切です。以下のような情報をメモしておきましょう。具体的なエピソードを伝えると、医師が診断するうえで役立ちます。

  • いつ頃から
  • どのような変化や症状があったか
  • どのようなことに困っているか
  • 今までにかかった病気・けが
  • 服用中の薬

また、受診を勧める際には、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。「認知症かもしれない」と直接的に伝えると、自尊心を傷つけたり、不安や拒否感を強めることがあります。一方で、「散歩に行くだけ」などと嘘をついて無理やり受診させると、信頼関係が損なわれかねません。

「最近疲れているようだから医師に相談しよう」など、本人が受け入れやすい言葉を選び、気持ちを尊重しながら、不安や抵抗感を軽減できる声かけを心がけましょう。

【関連記事】「認知症かも?」と思ったら |家族だからこそ気付ける“認知症のサイン”

まとめ:本人の気持ちに寄り添いながら、まずは受診を

物忘れが気になったとき、「年相応なのか、それとも認知症の兆候なのか」と悩む人は少なくありません。早期に対応すれば症状の悪化を防げる可能性もあるため、まずはセルフチェックを行い、少しでも気になる点があれば医療機関や相談窓口に相談しましょう。

ご本人が受診を嫌がる場合は、地域包括支援センターに相談し、訪問してもらうのもひとつの方法です。必要な治療や社会資源を受けることで、ご本人の不安やご家族の負担を軽減することにつながります。

■参考文献

取材・監修にご協力いただいた先生
古和 久朋(こわ ひさとも) 医師
神戸大大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域 教授
神戸大学認知症予防推進センター センター長
東京大学医学部医学科卒業。同大学院修了。マサチューセッツ総合病院アルツハイマー病研究室への留学を経て、東大神経内科特任助教、神戸大学神経内科講師、神戸大学神経内科准教授を歴任。2017年より保健学研究科教授。2021年より認知症予防推進センター長を兼務。

※掲載している情報は、記事公開時点のものです。

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